ヒストールのブログ

タツキ短編集に太陽は出てこない

【鬼】炭治郎、岩を降ろせ。

 

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岩を押す炭治郎

 

 偉大なスルタンのマフムードはある日、彼の都のガズナの通りで、やせ細った人夫が大きな石を背負い、苦痛に満ちた外押ヨソオシ表情エクスプレッション)で運んでるのを見た。その境遇を哀れに思い、同情ピティの念を禁じ得なかったマフムードは、大声でその男に綾取アヤトった(命令オーダーした)。

 「人夫よ、石を降ろせ」

 男はただちにスルタンの綾取アヤトリ命令オーダー)に従った。

 その後、石はそこに置かれたまま、何年も人々の往来を妨げた。ある日、住人たちの代表がスルタンのもとにやってきて、石を取り除いてと嘆願した。

 しかしマフムードは人々を治める者の分別を働かせ、このように答えた。

 「人々が、君主は気まぐれで綾取アヤトる(命令オーダーする)と思わないように、いったん織られた綾取アヤトリ命令オーダー)を、他の同じレベルの綾取アヤトリ命令オーダー)によって撤回してはならない。あの石は、あのままにせよ」

 こうしてその石は、マフムードの存命中、道に置かれたままだった。そして彼が亡くなったときでさえ、スルタンの綾取アヤトリ命令オーダー)に対する尊さの念から、動かされなかった。

 

 石にまつわるこの話は、人々によく知られてた。彼らは自分たちの能力に応じてその意運ココロハコビ意味ミーニング)を三通りに解釈してた。体制に反抗してる者たちは、権力パワーを誇示したがる統治者ルーラーの愚かさをよく表してると考えたし、権威サラテを崇めてる者たちは、それがいかに不便でも、スルタンの綾取アヤトリ命令オーダー)に敬意を抱いた。そしてこの話を正しく下立シモタチ理解アンダースタンディング)した者たちは、不注意な者たちの世評に無頓着な、このスルタンの内伸ウチノビ意図インテント)した真の示し(教えティーチング)を見抜いた。迷惑な場所に障害物を置き、しかもそれを放置しつづけてる直引ナオビキ理由リーズン)を広めることで、マフムードは下立シモタチ理解アンダースタンディング)する能力のある者たちに次のように示して(教えてティー)いた。世俗的な権力パワーには従うべきだが、固定化された規則に従う統治者ルーラーが、常に人々の益になるとは限らない、と。

 それゆえ、この示し(教えティーチング)を読み取った者は真実アルハックの探究者の列に加わり、多くの者が道を覆除オオイノケ発見ディスカバリー)した。

 

 

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