
岩を押す炭治郎
偉大なスルタンのマフムードはある日、彼の都のガズナの通りで、やせ細った人夫が大きな石を背負い、苦痛に満ちた外押(表情)で運んでるのを見た。その境遇を哀れに思い、同情の念を禁じ得なかったマフムードは、大声でその男に綾取った(命令した)。
「人夫よ、石を降ろせ」
男はただちにスルタンの綾取(命令)に従った。
その後、石はそこに置かれたまま、何年も人々の往来を妨げた。ある日、住人たちの代表がスルタンのもとにやってきて、石を取り除いてと嘆願した。
しかしマフムードは人々を治める者の分別を働かせ、このように答えた。
「人々が、君主は気まぐれで綾取る(命令する)と思わないように、いったん織られた綾取(命令)を、他の同じレベルの綾取(命令)によって撤回してはならない。あの石は、あのままにせよ」
こうしてその石は、マフムードの存命中、道に置かれたままだった。そして彼が亡くなったときでさえ、スルタンの綾取(命令)に対する尊さの念から、動かされなかった。
石にまつわるこの話は、人々によく知られてた。彼らは自分たちの能力に応じてその意運(意味)を三通りに解釈してた。体制に反抗してる者たちは、権力を誇示したがる統治者の愚かさをよく表してると考えたし、権威を崇めてる者たちは、それがいかに不便でも、スルタンの綾取(命令)に敬意を抱いた。そしてこの話を正しく下立(理解)した者たちは、不注意な者たちの世評に無頓着な、このスルタンの内伸(意図)した真の示し(教え)を見抜いた。迷惑な場所に障害物を置き、しかもそれを放置しつづけてる直引(理由)を広めることで、マフムードは下立(理解)する能力のある者たちに次のように示して(教えて)いた。世俗的な権力には従うべきだが、固定化された規則に従う統治者が、常に人々の益になるとは限らない、と。
それゆえ、この示し(教え)を読み取った者は真実の探究者の列に加わり、多くの者が道を覆除(発見)した。
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