
ハロー、ガイズ。
我は聖書と神話と漫画好きの一読者、ヒストール。よろしくね。
これは『チェンソーマン』82話の父殺し考察で、85話までのネタバレ注意。
まずは前提から…。

この画像からループを考えた人は多いはすだ。ただ、なぜデンジ君がパワーとクラッカー🎉とケーキ🎂を思い出せたかを理解するには【父殺しの真相の全て】を理解する必要がある。順序よく謎を解き明かそう。

この漫画において、黒枠内に描かれたコマは前の世界を示している。
今回は荒井とコベニとパワーを挙げる。
前の世界において、荒井はのどを撃たれ、次に頭部を撃たれ絶命した。
今の世界において、荒井は頭部だけを撃たれ絶命した。
今の世界における過去回想は、この合成画像の右側のようにトーンが貼られている。

今の世界のコベニ(左)は顔に返り血を浴びず、顔の血をこすった形跡はない。
前の世界のコベニ(右)は顔に返り血を浴びている。

今の世界のパワーはスーツを着て体や髪を洗い、時刻を守る理性的なパワーだ。
前の世界のパワーは全裸で体や髪を洗わず、おそらく時刻の観念がないパワー。
野生的なパワーが現代文明的なパワーになるまで数週間はかかりそうだ。その間ずっとコウモリの悪魔がニャーコを世話するとは考えにくい。

今の世界のコウモリは舌を負傷していないが、前の世界では舌を負傷してたり、檻をもたなかったりする。野生的なパワーでは不憫なことにニャーコを助けられない。
このように、黒枠は前の世界で、今の世界とは違う。それを踏まえ、デンジ(…)とポチタの契約「三つ」を振り返ってみよう。

一つ目。前の世界。
デンジ「お前を助けてやるから…俺を助けろ やっぱ俺も死にたくねえ…」

二つ目の契約。前の世界。
デンジ「悪魔には…死んだ人の体を乗っ取れるヤツもいるらしい」
デンジ「ポチタにそれができるんだったら……」
デンジ「俺の体をポチタにあげてーんだ」
デンジ「普通の暮らしをして 普通の死に方をしてほしい」
デンジ「俺の夢を叶えてくれよ」

三つ目の契約。今の世界。
ポチタ「私の心臓をやるかわりに……デンジの夢を私に見せてくれ」
さて、黒枠が前の世界とすると、1話におけるデンジとポチタの契約が、一つ目と二つ目はないことになる━━普通に考えれば。三つ目だけが有効な契約に思える。しかし、三つとも有効だ。

①「キミが普通の生活をするかわりに」
②「ポチタはキミに心臓をあげる……」
③「キミがポチタとしたのは約束じゃなくて契約だったんだよ」
④「私は考えたんだ どうすればその契約を破棄する事ができるかって」
ものすごくややこしい!
どれがどの契約かわかりにくい!
特に④「その契約」って三つのうちどれだ?
黒枠が前の世界と踏まえ、三つの契約を全文把握しないと全くわからない。
まず、この回でマキマは「デンジ君」「キミ」を両方多用し、
実は「キミ」を二種類で使い分けている。
さらにあえて一度も呼ばない言い方【デンジ】を隠している。
読んでる人は?????だろう。
なので難しい話は全部やめて、別の言い方をしよう。
今の世界の「デンジ君」は【デンジ】ではない。
「デンジ君」は前のポチタが今の世界に来た時、
【デンジ】の体を乗っ取ってしまった存在だ。
そう、この世界には二人(匹)のポチタがいた。
>デンジ「俺の体をポチタにあげてーんだ」
>デンジ「俺の体をポチタにあげてーんだ」
>デンジ「俺の体をポチタにあげてーんだ」
おそらく前の世界でデンジは死に、
ポチタは何らかの力で今の世界、
幼少期のデンジがいる時期にやって来た。
その時、二つ目の契約により、
ポチタは前のデンジの死体ではなく、
新しい世界の子供デンジの体を自動的に乗っ取った。
>デンジ「普通の暮らしをして 普通の死に方をしてほしい」
>デンジ「俺の夢を叶えてくれよ」
生きたままの乗っ取りなので魔人とは違い、頭部が変化せず、
前のポチタは「普通」の子供並に弱くなり、自分が誰か忘れた。

そして「普通」の子供として暮らしていた
今の世界の「デンジ君」、【ポチタ=デンジ】は、
酔ったデンジの父親に殺されそうになった。
その時、一つ目の契約の「俺を助けろ やっぱ俺も死にたくねえ…」が発動、
「普通」の「デンジ君」はチェンソーマンに変身…

そして「キミ(チェンソーマン)」は死なないためにデンジの父を殺した。
“デンジ君(ポチタ=デンジ)のお父さん”
“キミ(チェンソーマン)が殺したんでしょ”

仕方がなかった。
デンジ乗っ取りもデンジ父殺しも契約によるものだった。
しかし、事が済んだ後の「デンジ君」は
前のデンジ「普通の暮らしをして 普通の死に方をしてほしい」
今のポチタ「デンジの夢を私に見せてくれ」
という契約のため、「普通の暮らし」のため、記憶を封印した。

「デンジ君」はデンジという人間ではなかった。

キミの名はチェンソーマン。

自分をデンジだと思っていたチェンソーマン。

キミはデンジの夢を生きたチェンソーマンだった。
………。
けれども、なぜ地獄のヒーローが犬になり、デンジと絆を結べたのか、
デンジとしてアキやパワーと本当の家族になれたのか、
どこかに神の救いと慈悲が残されているように感じられる。
ポチタ=デンジがたまに見せる悪魔性はチェンソーマンの本性だとしても、
全てが偽物だったと言うには「デンジ君」は人間らしい。
この漫画は地獄の申し子のようなチェンソーマンが愛を知る物語ではないだろうか。
ポチタが犬、dog(Godの逆さ)なのがすでに救いに思える。
どんな悪魔を食べても満たされなかったチェンソーマンが「腹いっぱい」に、
食べなくてもデンジと共にいて「胸いっぱい」に満たされる物語。
「父殺し」の大罪すら赦される愛の物語。

そしでまだ、謎は残っている。
「デンジ君」の夢に出てくる前の(?)デンジは、本物のデンジ?
なぜ前の世界が今の「デンジ君」の夢にいつも出てきたのか。

「デンジ君(ポチタ=デンジ)」の罪の扉と
「開けちゃ駄目だ」の扉はドアノブの位置が逆で周りも違う。

マキマの好きなタイプは「デンジ」?

マキマの涙は何だったのか。
