【呪術廻戦144話】四つ目の天元や宿儺はサグ・ディード?

帝高陽之苗裔兮朕皇考曰伯庸━━『楚辞』離騒
昔は誰でも朕、詔、璽を使っていた。
ハロー、ガイズ。
朕は聖書と神話とゾロアスター好きのヒストール、よろしくね。
これは『呪術廻戦』144話から天元と宿儺の四つ目考察。144話の感想記事じゃないよ!

地味な方の天元
派手に爆発するイケメン天元でなく、エキストラ呪霊のような天元。これは天内理子と同化してないからか。

六眼
天元は六眼持つ人(五条悟)がいると接触が不可能らしい。つまり天元は六眼に見られたくないものがある。それは、天元が宿儺に近しい存在だからでは。

進化先は宿儺
もしも天元の進化━━「より高次の存在」「“意志”というものがない」━━が宿儺の配下的なもので、人類の敵なら…進化途上でも六眼で見られたくないはずだ。


おにやらい
「宿儺」は有名になった。が、【儺】が「おにやらい」と読むことは広く知られていない。名は体を表す。宿儺は鬼を追い払う名で、鬼ではない。ビジュアル的に十二神将のよう。

『蒼天航路』の蔡邕
疫神:帝顓頊有三子,生而亡去為鬼,其一者居江水,是為瘟鬼;其一者居若水,是為魍魎;其一者居人宮室樞隅處,善驚小兒。于是命方相氏黃金四目,蒙以熊皮,玄衣朱裳,執戈揚楯,常以歲竟十二月從百隸及童兒,而時儺以索宮中,敺疫鬼也。桃弧棘矢土鼓鼓,旦射之以赤丸,五穀播灑之以除疫殃,已而立桃人葦索,儋牙虎神荼、鬱壘以執之,儋牙虎神荼、鬱壘二神海中有度朔之山,上有桃木蟠屈三千里卑枝,東北有鬼門,萬鬼所出入也。神荼與鬱壘二神居其門,主閱領諸鬼,其惡害之鬼,執以葦索食虎,故十二月歲竟,常以先臘之夜逐除之也,乃畫荼壘并懸葦索于門戶以禦凶也。━━『蔡中郎集』外集巻四「独断」
節分は追儺という大晦日の行事を源の一つとする。『蒼天航路』で董卓に高評価された蔡邕(133-192年)。彼が書いた『蔡中郎集』外集巻四「独断」では、追儺の方相氏は黄金四つ目(の面をつけ)、黒と赤の衣を着て、熊の皮をかぶり、矛をとり、盾を揚げて鬼を祓う(儺)宮中行事だ。四つ目の後に火を持った奴隷と童の百人ほどが続く。桃の弓に棘の矢をつがえ、土鼓を鳴らす。昔は方相氏が鬼を祓う側だったが、時を経て、方相氏が鬼として追われる側に零落した。追儺の「儺」「四つ目」「火」「弓」は宿儺とかぶる。

偽風水による猿ヶ辻
日本風水の「東北に有る鬼門、万の鬼が出入りする所なり」は蔡邕の鬼門通り。蔡邕は王充(27-97年)の『論衡』から鬼門を書いた。ネットに「鬼門の起源は『山海経』にある」「新井白石が『鬼門説』でそう書いた」のページがあるが、『山海経』に鬼門の語はない。白石は『論衡』を真に受けて間違えた。中国語の鬼は主に目に見えない「幽霊」や蔑称で、怪力で恐ろしい存在じゃない。中国風水は東北を鬼門として固定化しないし、鬼門は研究や論文のテーマとして書かれない。要するに鬼門は、京都や江戸の都市計画にする程の由緒がない。「鬼門の方角を欠くべき(例:猿ヶ辻)」も迷信に過ぎない。

追儺≒ハロウィン🎃!?
追儺より四方拝に続くこそ面白けれ。晦日の夜、いたう闇きに、松どもともして、夜半過ぐるまで、人の、門叩き、走りありきて、何事にかあらん、ことことしくのゝしりて、足を空に惑ふが、暁がたより、さすがに音なくなりぬるこそ、年の名残も心ぼそけれ。亡き人のくる夜とて魂祭るわざは、このごろ都にはなきを、東のかたには、なほする事にてありしこそ、あはれなりしか。━━『徒然草』
渋谷事変の日付と死滅回遊の十九日ネタを引っ張ると『徒然草』の十九段も追儺の事が書いてある。追儺は「亡き人の来る夜として魂を祀る」ハロウィン🎃!都(京都)にはなく、東ではまだやってるのが「あはれ」。

宝剣(草薙剣)は失せにけり━━『平家物語』
日本は『平家物語』でヤマタノオロチを神竜と書き、草薙剣を「千尋の海の底、神竜の宝になりしかば、再び人間に返らざるも理とこそ覚えけれ」と記し、謡った。草薙剣は壇ノ浦で失われた。今の草薙剣は偽物、鏡も疑わしい。また伊勢に三種の神器というしきたりはなかった。神器が失われた不安から、浄土宗や浄土真宗が流行した。有名な鬼神、酒呑童子は伊吹大明神(ヤマタノオロチ)の子と位置づけられ、草薙剣の正統所有者と暗示された者。


ネウロ136話
中華の鬼は、帝の証を持つべき者という含みはない。ただし、儒が理想とする堯舜の帝、堯から舜への禅譲は凄まじく黒い裏がある。舜でなく四凶(渾敦、窮奇、梼杌、饕餮)に真の帝たるべき者がいた。今『逃げ上手の若君』を描いている松井優征は、『魔人探偵脳噛ネウロ』において洪水テロを起こしたDRを中華を裏側から操る一族、共工(窮奇)の末裔として描いた。共工は洪水を起こした水神とされ、DRの洪水テロもそこから来る。が、「共工は全土(九有)の覇者━━『国語』巻04」 とあり、共工の娘の匂龍は后土(全土の地母神)だ。共工は天を西北に傾け、中国の河川をすべて東南向きに流した超人指導者だった。娘も全土の地母神とされるほど超人。 共工は、治水ができないが人心掌握と情報操作に長けた舜に政権争いで負け、治水でなく洪水を起こした悪神や化物にされたのだろう。月刊マガジン『龍帥の翼』の窮奇は張良側の武人として描かれている。窮奇(共工)は風神で日本の鎌鼬の原型とされ、追儺において厄を食べる獣ともされる。『キングダム』ネタは無いッ。
両面スクナの分身の片面は天皇たるべき人であったに相違ないように思われる。そして、それが天武天皇によって亡ぼされたこともほぼ確実でしょう。━━坂口安吾『安吾の新日本地理 飛騨・高山の抹殺』
ヒストリー初の天皇は天武。天武は日本建国者で『古事記』『日本書紀』を編纂させた。しかし、坂口安吾は宿儺を初代天皇たるべき人と書いている。天皇の位牌を預かる泉涌寺はなぜか天武系の位牌だけ除外している。さらに「平安時代になってからの記録を調べると、歴代の天皇陵に対する“奉幣の儀”が、天武系の天皇に対しては、まったく行われていない」。初代天皇で日本建国者が子孫ごと非天皇扱い。日本や中華の帝はごく初期から歪だ。そして記紀と天皇をかかげた明治維新と政府もひどく歪だ。

京都市東寺の悪魔インドラ像
ゴータマ・ブッダの「ゴータマ」は“最高の牛”。ゴータマの角持つ者をオニとするのは仏への逆らい。シッダルタは無駄な苦行努力をやめて牛乳粥を食べた。「丑寅(牛虎)」を悪い方角と言うのは仏法に反するし、「丑三つ刻」を悪い時間とするのは仏道に外れる。インドや中東や西洋は「右が善で左が悪」。右なる“rights【正】”は権や利ではない。初期仏典では七が聖なる数で五が未熟者や苦を示す。善神なるアフラは阿修羅ではない。悪魔なるインドラは帝釈天(仏道の“天皇”)ではない。四魔王は四天王ではない。明星の堕天使は菩薩ではない。呪われた島とは、ゴータマに反して牛乳を飲まず、苦行努力を好み、ゴータマの角持つ者をオニと呼び、丑寅を不吉な方角、丑三つ刻を不吉とし、左眼から生まれた魔の太陽を崇め、左を上にして和服を着て、左大臣を右大臣よりえらい者とし、右なる正しさを権利と偽り、鬼門の七殺を語り、五色幕で寺を飾り、明星天子(虚空蔵菩薩)に取り憑かれたスカイシーを崇敬し、善神なるアフラを阿修羅に貶め、悪魔帝のインドラを帝釈天と崇め、四魔王を四天王として崇める島だろう。
日本では四つ目の犬(眉で四つ目のような犬)は不吉とされる。ところが、インドやイランの四つ目の犬は聖なる犬だ。
サラマー(神話的牝犬)の子なる二匹の犬、四つ眼にして斑あるを、直路に過ぎり走れ。しかしてよく賜物を頒つ祖先に近づけ、ヤマ(閻魔)と共なる饗宴を楽しむところの。
ヤマよ、汝の二匹の番犬、四つ眼にして、道を守り、人間を監視するこれらの〔犬〕に、彼(死者)を託せ、王(ヤマ)よ。彼に安寧と無病とを授けよ。
鼻広く・茶褐色(?)にして、生命を奪う・ヤマの二匹の使者は、人間のあいだを徘徊す。この二匹は、今日ここに、幸多き生命をわれらに返し与えよ、〔われらが〕太陽を見んがために。━━『リグ・ヴェーダ』ヤマの歌10・14・10〜12
黄色の四つ目の、(あるいは)白色で黄色の耳をもつ犬を、三度その道で往来させよ。
スピターマ・ザラスシュトラよ、
黄色の四つ目、(あるいは)白色で黄色の耳をもつ犬が連れてこられるや、かの死魔は北方へ逃げ去る。━━『アヴェスター』ウィーデーウ・ダート8-15
いわゆる拝火教、ゾロアスター教の啓典『アヴェスター』において、四つ目の犬━━両眼の上に斑点がある犬━━は屍魔ナスを駆逐するとされ、サグ・ディード(犬見)と称して検死の役を担い、浄めにも重要な役割を持つ。四つ目の犬は悪魔祓い、儺の聖犬。呪われた日本は四つ目の聖犬を不吉とする迷信があったが、宿儺や天元の四つ目は、アヴェスターやヴェーダの四つ目かもしれない。アフラ(善神)とダエーワ(悪神)の流れは、ユダヤやキリストやイスラムに継承された。アスラ(阿修羅)とデーヴァ(神々)の流れを組む仏道は悪魔的。朕は前に真人を閻魔の鏡(浄玻璃の鏡)として考察した。『リグ・ヴェーダ』のヤマ王(閻魔)の生命を奪う犬と宿儺王・真人はつながるかもしれない。

アルダシール1世(左)とアフラ・マズダー(右)
アヴェスターでは世界の輪廻超越として、四角い方舟にイマ(閻魔)が入り、世界を沈めるアンラ・マンユの大雪(大洪水に該当)が降る。世界は滅び、人の生まれ変わりはない。なぜなら、四角は廻らない。日本で知られていないが、ゾロアスターから善神と悪神(天使と悪魔)、終末、終末に向けてのヒストリー、サオシュヤント(メシア、キリスト、弥勒)、救世主の白馬、復活、総審判(最後の審判)などが始まった。アフラ・マズダー(智慧神)の息子アータル(火)は、護摩の火の源。眞言は真言の源。ゾロアスター以前と以後の世界は別物。ゾロアスターの影響力と質において、後発のブッダなど比較にならない。ユダヤやキリストやイスラムはゾロアスターを消化しきれていない若者だ。13世紀インドで仏道は絶滅した。仏道は死にゆく老人。またヴェーダは征服者アーリア人にもたらされたもので、インドに元々いた人々の発案じゃない。

兄貴認定
偽りの初代天皇が作らせた神話は「兄弟姉妹」があるが、世界は兄弟姉妹や先輩後輩や帝臣民の上下用語はない。目上目下や先生生徒もない。三年の東堂葵は先輩面や兄貴面をしないブラザーなので、張相と葵はどんな関係になるだろう。

星が敵
呪術廻戦は、絶望的な日本が描かれる。野薔薇や菜々子・美々子の田舎な地元が邪悪。京都の名門は老害。都会の呪霊は地方より悪質。呪術界は腐ったミカンのバーゲンセール。非術師は無自覚に呪霊を生む。呪術師はヒーローじゃない。日本人は愛を普段言わない。世界で年齢差のないブラザーやシスターを上下関係だけで呼ぶ。土地神(産土神)に呪術師が殺される。土地神を1級呪霊として祓う。森や海も空も人の敵。高次の存在が人間の敵。ハロウィンに隕石が降り、1000万の呪霊が湧き、首都が壊滅する。

呪いの向こうへ
兄弟も姉妹も民も天皇も神も仏も鬼も偽物の島で「考える」には、日本や漢文や仏典にない言語が要る。聖書や英語はもちろん、仏道を駆逐する四つ目の犬が要る。聖犬見で呪いから脱却するか━━アンラ・マンユの大雪で旧世界は滅ぶべきか。朕は呪いなき新しい世界を見てみたい。
追記:2021年4月4日
蒼天航路の曹操から海っぼい漏瑚の《瑚》がなぜ大地なのかわかる。

